【11次公募開始決定】事業承継・M&A補助金 専門家活用枠を補助金専門家が解説!

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近年、中小企業の事業承継やスモールM&Aが注目されています。しかし、売り手・買い手ともに費用負担が大きな課題となることが少なくありません。そんな中、国や自治体が提供する補助金を活用することで、スムーズな事業譲渡・M&Aを実現することが可能です。

本記事では、まもなく11次公募が開始される「事業承継・M&A 補助金 専門化活用枠」の概要や活用方法について、認定経営革新等支援機関に所属する補助金の専門家が解説します。

※本記事は2025年3月31日に公開された事業承継・M&A補助金 専門家活用枠(11次公募)の公募要領(暫定版)をもとに執筆しております。申請については、2025年4月中を目途に公表が予定されている公募要領確定版を確認の上、行ってください。

目次

事業承継・M&A補助金は、円滑な事業承継やM&Aを促進することを目的として、中小企業庁が実施する支援制度です。事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援するものです。この補助金を活用することで、M&A・事業承継にかかる専門家費用や経営統合(PMI)費用、設備投資費用、廃業費用などを補助してもらうことができます。

11次の募集枠である専門家活用枠は2つの類型があります。

買い手支援類型(Ⅰ型)
事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り受ける予定の中小企業等を支援する類型。

売り手支援類型(Ⅱ型)
事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り渡す予定の中小企業等を支援する類型。

事業承継・M&A補助金 専門家活用枠では、以下のような費用が補助の対象となります。

謝金、旅費、外注費、委託費*、システム利用料、保険料、廃業費、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用

※委託費のうち、「M&A 支援機関登録制度」に登録された登録 FA・仲介業者が支援した費用に限り補助対象経費となります。

補助対象者に交付する補助額は補助対象経費の3分の2以内で、詳細は以下のとおりです。

※ 補助金の交付は補助対象事業完了後の精算後の支払い(実費弁済)となりますので、注意が必要です。

類型補助率補助下限額補助上限額
上乗せ額
(デュー・ディリジェ
ンスに係る費用)
上乗せ額
(廃業費)
買い手
支援類型
(Ⅰ型)
補助対象経費の 2/3 以内50 万円600 万円
以内
+200 万円
以内
+150 万円
以内
売り手
支援類型
(Ⅱ型)
補助対象経費の 1/2 又は2/3 以内

補助対象事業は、以下の①または②に該当する必要があります。

① 買い手支援類型(Ⅰ型)

  • 事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした生産性向上等を行うことが見込まれること。
  • 事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。
  • 客観的資料に基づいた検討に基づく M&Aの実行検討、M&A 成立後のトラブル防止、またM&A 成立後の成長を実現する上で重要となる PMI に資する有益な情報取得の観点等から、補助対象経費の計上有無を問わず、デュー・ディリジェンス(DD)を実施すること。

②売り手支援類型(Ⅱ型)

  • 地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること。

【補助対象経費の該当可否(契約等の時期別)】

※中間報酬に関しては「成功報酬」→「中間報酬」、「最終契約」→「基本合意契約」に読み替え。

ケース実施期間補助対象経費
該当可否
補助事業期間
開始前
補助事業期間補助事業期間
終了後
専門家契約
最終契約
成功報酬支払い
専門家契約最終契約
成功報酬支払い
×
専門家契約
最終契約
成功報酬支払い×
専門家契約
最終契約
成功報酬支払い×
  • 専門家契約 ・・・
    FA・M&A 仲介業者と FA・M&A 仲介費用に係る委託契約書を締結
  • 最終契約 ・・・
    FA・M&A 仲介業者と FA・M&A 仲介費用に係る委託契約書を締結し、支援を受けた上で交渉相手と最終契約書を締結
  • 成功報酬支払・・・
    最終契約及び最終契約に基づく取引の実行(以下、「クロージング」という。)に伴う成功報酬の支払い

※補助事業期間開始前に経営資源引継ぎの交渉相手と最終契約書を締結しているにも関わらず、覚書等によって最終契約日を補助事業期間内に延長する行為は、原則補助事業期間内の最終契約とはみなさない。

以下に該当する M&A は、承継者と被承継者による実質的な事業再編・事業統合が行われたとみなされないことから、原則補助対象外となりますので注意が必要です。

【承継者と被承継者による実質的な事業再編・事業統合が行われたとみなされない例】

  • グループ内の事業再編に相当する場合
  •  物品・不動産等のみの売買に相当する場合
  •  親族間の事業承継に相当する場合
  •  事業再編・事業統合における取引価格が、補助対象経費(専門家への委託費用等)に比して低額等であり、取引価格の合理性が確認できない場合
  •  事業譲渡における譲渡価格が0円(無償)である取引や、株式譲渡における株価1円である取引等のうち、取引価格の合理性が確認できない場合
  • 事業譲渡において、有機的一体な経営資源(設備、従業員、顧客等)の引継ぎが行われていない場合
  • 株式譲渡後において、譲渡後に承継者が保有する被承継者(対象会社)の議決権が過半数に満たない場合
  • 休眠会社や、事業の実態がない状態の会社におけるM&A等
  • 開業直後の事業主からの事業譲渡等において、その正当性が確認できない場合
  • 上記各事例の他、事業再編・事業統合が行われたことを客観的に確認できない場合

公募への申請、及び交付申請を含む補助対象者側の手続きの流れは主に以下です。

  • gBizID取得申請・取得 ※まだ持っていない場合
  • 申請書類作成
  • jGrantsを使って申請書類の提出
  • 採択通知受理
  • 補助事業に係る見積等の入手・交付申請
  • 交付決定通知書受理
  • 補助事業実施
  • 実績報告書の提出
  • 補助金の請求
  • 補助金の受領
  • 事業化状況報告

過去の公募より、申請〆切から補助金の受領まで8〜10ヶ月程度かかると見ておくとよいでしょう。

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事業承継・M&A補助金は、スモールM&Aや第三者承継を検討している中小企業にとって、大きな支援となる制度です。M&Aにかかる費用を抑えつつ、事業のスムーズな引き継ぎを実現するために、積極的に活用を検討しましょう。当該補助金の詳細や最新情報は、事業承継・M&A補助金公式サイト( https://jsh.go.jp/ )を確認し、適用条件や申請スケジュール、申請書類をしっかり把握することが重要です。申請を進めていくのにご不安がある場合は、補助金の専門家である認定経営革新等支援機関に相談するのも一つです。オールグロースでは、M&Aのサポート、事業承継・M&A補助金の申請サポートも行っておりますので、気になったらお気軽にご相談ください。

円滑な事業承継・M&Aを実現するために、補助金を上手に活用しましょう!

監修:御厩敷 直(認定経営革新等支援機関統括責任者)

フィッシュリップル株式会社 執行役員
オールグロース会計事務所 財務コンサルタント

フィッシュリップルでは中小企業に向けたwebマーケティング支援に従事する一方で、オールグロース会計事務所では、補助金など財務のコンサルティングを行う。ものづくり補助金や事業再構築補助金のサポート実績多数、Xでオススメの国・自治体の補助金を不定期発信中。

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オールグロースは Enjoy the growth をスローガンに、公認会計士・税理士・マーケター・クリエイターで構成される、中小企業の成長と継承を支援する専門家集団です。 事業を通じて中小企業を活性化し、豊かな日本と地域の経済に貢献します。

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